キャリアコンサルタントにぴったりのリーダーシップ論があります。
それは、サーバントリーダーシップ。

さて、キャリアコンサルタントは組織のリーダーに向いているでしょうか?

一昔前なら、ぴんとこないかもしれませんが、今の時代、キャリアコンサルタントの持つスキルや能力がリーダーシップとして求められています。

サーバントリーダーシップは、支援型、寄り添い型リーダーシップともいわれます。

今回はキャリアコンサルタント向けのリーダーシップ論をご紹介いたします。

そもそもリーダーシップとは

リーダーシップとは、組織やグループに影響を与える人のことを指します。

また、リーダーシップには、様々な種類があり、正解はありません。

しいて言えば、組織やグループの置かれている課題に対して、最適なリーダーシップを発揮し、その課題解決に貢献できることこそが正解と言えるかもしれません。

つまり、導く、統率するだけがリーダーシップのあり方ではないのです。

アメリカの心理学者であるレヴィンによると、リーダーシップ類型としては以下の3種類を定義しています。

・専制型リーダーシップ
・民主型リーダーシップ
・放任型リーダーシップ

上記のうち、キャリアコンサルタントの特性に適したリーダーシップは、民主型といえそうです。

更に後にはダニエル・ゴールマンが6種類のリーダーシップの考え方を定義しています。

・ビジョン型
・コーチ型
・関係重視型
・民主型
・ペースセッター型
・強制型

上記のうち、キャリアコンサルタントの特性に適したリーダーシップは、3種類(コーチ型、関係重視型、民主型)だと思います。

これらは、比較的キャリアコンサルタントのもつ特性との親和性が高いといえますが、「キャリアコンサルタント=リーダーシップ」というほどの特徴ではなく、自分の特性に合ってさえいれば、誰でも発揮できます。

ただ、最近は「支援型」のリーダーシップも定義されつつあり、キャリアコンサルタントに適したリーダーシップといえそうです。

最近ニーズあり?支援型リーダーシップ「サーバントリーダー」

サーバントリーダーシップは1970年にロバート・K・グリーンリーフが提唱した理論です。

サーバントには「召使い」、「使用人」、「奉仕する」等の意味がありますが、「奉仕する」といった意味合いが最も強いように思えます。

「リーダーはまず、相手に奉仕して、その後に相手を導くものである」といった感じの哲学です。

サーバントリーダシップの特性

サーバントリーダーシップには以下に示す10の特性があります。

傾聴

気持ちに寄り添い聞くスキルです。
キャリアコンサルタントの基本スキルですね。

共感

相手を否定せず、気持ちを汲み取り、共感するスキルです。

キャリアコンサルタントであれば対人支援において、共感的理解を示すのスキルは備えています。

癒し

メンバーの心に配慮し、癒しを提供するスキルです。

キャリアコンサルティングにおける、話しやすい雰囲気作りと類似です。

気づき

自分自身への気づきを意味します。
つまり自分の行動を振り返り、内省できること。

固定観念や既成概念に捉われていないか、自分自身をアップデートする力ともいえそうです。

メタ認知的思考にも近いですが、キャリアコンサルタントなら「自己研鑽」はしていると思います。

納得

立場や権限、職位などによらず、同意を得られるように寄り添います。

キャリアコンサルタントなら相手の気持ちを無視して説得する言動はNGなのは理解できると思いますが、ここでいう説得は相手が納得しているかが大事です。

サーバントリーダーシップでいう説得は、目的をしっかり伝え、共有し、部下やメンバーが納得できることが重要です。

概念化

チームのビジョン、目標、ノルマ等を明確な形でメンバーに伝えるスキルです。

人はそれぞれに価値観があります、それらを「統合する」スキルともいえます。

難しく思われるかもしれませんが、キャリアコンサルタントのなかでも、チームビルディングやファシリテーションの方向で活動をされている方ならぴんとくるのではないでしょうか。

また、自律したキャリアコンサルタントであれば備えているスキルだと思います。

先見力

先を見通す、方向性を見定めるスキルです。

キャリアコンサルタントの領域で例えるなら、労働市場の先行きや、環境の変化を見定めようとする能力と同じです。

執事役

サーバントリーダーの最も特徴的な部分です。

献身的に接するという意味です。
リーダーに献身的に支援してもらえれば、信頼関係の構築もしやすくなります。

献身的と置き換えると、キャリアコンサルタントらしいスキルです。

成長への関与

キャリアコンサルタントの役割でもある「キャリア自律を支援する」といった側面と似ています。

サーバントリーダーシップが、人の成長をという内発的動機付けを促す特性があるのであれば、キャリアコンサルタントらしいスキルもいえます。

コミュニティづくり

周囲との関係性や、ネットワークづくりはキャリアコンサルタントのみならず、ポータブルスキルともいえます。

人的ネットワークがなければ、キャリアコンサルタントは専門外のことで支援を仰ぐ際のリファーもできません。

キャリアコンサルタントにもリーダーシップが必要な背景

個人のキャリア自律が求められています。

そんな中で、個人のキャリア自律を支援する専門家であるキャリアコンサルタント自身が
リーダーシップを発揮して、主体的に組織に働きかけて行くことも役割としてあります。

個人の心理的成長は個人にしか達成できませんが、個人の成長を伸ばすための仕組みづくりや環境への働きかけは、キャリアコンサルタント自身が主体性をもって、動いてゆく必要性を感じます。

サーバントリーダーシップはそんなキャリアコンサルタントにフィットするリーダーシップの概念だと思います。

キャリア自律への支援が求められている

前述しましたが、企業内では従業員のキャリア自律を促進する施策が注目されています。

その施策の代表例として、セルフキャリア・ドックがあります。

必然的に、個々のキャリア自律のための支援に関わることのできるスキルは重宝されつつあります。

つまり、組織のリーダ的役割として、キャリアコンサルタントの力を発揮するニーズが高まっていると思います。

サーバントリーダーの弱点

寄り添い型なので、短期的には生産性が低くなることがあります。

キャリア自律は長期的視点のため、サーバントリーダーシップによる効果はも長期的には効果的といえます。

【まとめ】キャリアコンサルタントもリーダーシップが必要な時代へ

組織の管理職の方がキャリアコンサルタント資格を取得するなど、リーダーとしての役割を抱えてるキャリアコンサルタントの方も多いと思います。

そういう意味でサーバントリーダーシップは、キャリアコンサルタントのリーダーシップ論としてはいいバイブルになるのではないでしょうか。

最後に、サーバントリーダーシップの提唱者である、ロバート・K・グリーンリーフの著書を紹介させていただきます。

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