世の中には「ダメな上司」の事例はたくさんあります。
では逆に「良い上司」、「理想の上司」とはどんな上司でしょうか?

今回は、理想の上司アンケートからの意見を参考に、私なりの「理想の上司」の条件と、理想の上司になるためにはどうすればいいのかを述べたいと思います。

【前提】他人を変えることはできない

上司になる人は、仕事上の経験が豊富で、組織から認められて上司になった方々だと思います。

これまでに人生経験から「こうあるべきだ」と言う持論は持っているはずです。

ただし、その「べき論」は自分だけに通用する理屈であって、他人には通用しません。

それは、人それぞれ「価値観が違う」からです。

理想の上司になる大前提は、 「他人を変えることはできない」 ことを分かっていることです。

そして、何かを変えたい場合は「まず自分が変わること」。

その前提を念頭に、理想の上司について考えてみましょう。

理想の上司アンケート

明治安田生命「理想の上司」アンケート調査によると、理想の上司として男女ともに“親しみやすい”、“優しい”、“頼もしい”を求めていることがわかります。

そして、「柔軟な考え方ができる」上司と一緒に働きたいといった意見です。

これらを、私なりの解釈で捉えたのが以下です。

・“親しみやすい” => 「心理的安全性」がある
・“優しい” ⇒ 「気持ちに寄り添う」
・“頼もしい” ⇒ 「決断/実行力」がある
・「柔軟な考え方ができる」 ⇒ 「多様性を受け入れ尊重できる」

それぞれの要素について、以下で見ていきましょう。

「親しみやすい」⇒「心理的安全性」がある

上司に求める「親しみやすい」とは、何でも話せる上司であることです。

それは、最近話題の 「心理的安全性」 がヒントとなります。

上司はよく「困ったら何でも聞いて」と部下に伝えますが、それでも部下は聞きにくいものです。

受け身にならず、上司自ら積極的に「何か困ったことはない?」と聞いて回るのが良いでしょう。

それと、ほんとに部下から頼られる上司になりたいのなら、「君の力になりたい」としっかり自分の気持ちを伝えることが大事だと思います。

上司はどんな状況でも部下の味方であることを伝え、上司と話をする空間は安心・安全の場であることを保障しましょう。

「優しい」⇒「気持ちに寄り添う」

「気持ちに寄り添う」とは、好意的関心を示し、部下の感情を理解、共感することです。

つまり、 「傾聴」 が必要になります。

好意的関心は部下の話をしっかり聴いていることを態度で示すことを意味します。

部下が話している最中は、相づち、しっかり頷く、そして興味をもって部下の話を聴きます。

上司の「べき論」が頭の中で湧いてしまうと、部下が話し終わった後で「でもね」「だけどね」と否定的な表現で、自分の考え方を伝えようとしますが、否定形で上司が話すと、「自分のことを分かってくれていない」と部下が感じ、上司と部下の信頼関係が構築できません。

「どうせ言っても分かってくれない」と思われる上司は、とても「優しい」上司とはいえません。
「この人は自分の話を聞いてくれる」と部下から思われる上司であれば、それは「優しい上司」といえそうです。

「頼もしい」⇒「決断/実行力」がある」

上司の役割の一つに、 「決める」 があります。

つまり決断です。

決断の際に、保身に走ってしまうと、部下に見透かされます。

そして、アンケートにある“頼もしい”は部下を守ってくれる上司を指すと思います。
常に自分の味方であると部下から感じてもらえる上司は、「頼もしい」といえそうです。

また、状況全体を捉え、その時の一番ベストな選択ができる上司には魅力を感じます。

さらには、自分の発言に責任を持つこと。

「こうすればいいんじゃないかなー」と傍観者的な視点で話すのではなく、周囲を一緒に巻き込んで自らも行動する姿勢が良いと思います。

最近は「俺についてこい」的な上司はあまり評価されません。
部下の主体性を促す、 サーバントリーダーシップ がおすすめです。

サーバントリーダーシップの詳細は以下を参考ください。
キャリアコンサルタント向けに記載した記事ですが、サーバントリーダーシップの特性について述べています。

「柔軟な考え方ができる」 ⇒ 「多様性を受け入れ尊重できる」

ダイバーシティに理解があることです。

LGBTQの当事者の方や、産休・育休などへの理解と支援なども含まれます。

もっとも日常的なのは、自分と異なる考え方や価値観を持つ人たちを受け入れること。

「こうあるべきだ」という考え方に固執してしまうと、柔軟な考え方はできません。

部下や新入社員に対してもリスペクトする気持ちを持ちたいところです。

参考までに、私が実践しているのは、どんな立場の人でも「さん」付けで呼ぶことを意識しています。

多様な人たちとも平等な視点で物事を捉え、心理的安全性が保たれた環境構築につとめ、意見が言いやすい場での健全なコンフリクトは組織を活性化させます。

理想の上司になるために意識すること

前述しましたが、上司自らが変化・進化することが大事だと思います。

つまり「自分が変わること」。

正確には、自分自身の捉え方を変化させ、そして行動や言動を変え、周囲に変化を促すことができるかがポイントです。

おすすめは 「メタ認知」 です。
メタ認知は自分の言動や行動を客観的に捉えることをさします。

メタ認知能力を高めて、自分自身が変化、進化を続ければ、きっと「良い上司」、「理想の上司」に近づいてゆくのではないでしょうか。