日常において、漠然と仕事をしていたり、学びに意味を感じないなど成長実感が得られないことがあると思います。

そんな時、前向きになるためのヒントに「守破離」(しゅはり)があります。

守破離を意識することで、目の前の仕事や学習に意味を見つけることができるかもしれません。

本記事では守破離の考え方を通して、仕事や学び、キャリアと向き合う方法について述べたいと思います。

少しでも、目の前の出来事に意味を感じていただければ幸いです。

守破離を知るきっかけ

いきなり余談ですが、私が「守破離」という言葉に興味をもったきっかけについてです。

週刊少年ジャンプで連載している、落語家のマンガ「あかね噺」で守破離という考えを知り興味を持ち始めました。

守破離は古くから日本の武道を中心に使われていた言葉で、落語や茶道などでも使われます。
また、修行のプロセスを表現する言葉です。

もともとは戦国大名の武田氏の軍学書「甲陽軍鑑」が守破離の由来のようですが、守破離を今に伝わるようにした生みの親は千利休とのこと。
千利休の教えを和歌にした利休道歌(りきゅうどうか)では、守破離を意味する以下の歌があります。

「規矩作法(きくさほう) 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」

守/破/離の部分はそれぞれ以下のような意味です。

■守:型に従う、教わり学び、基本を身につける
■破:応用の段階。学びの幅を広げたり、自分なりにアレンジしたり、発展させるなど
■離:型に捉われずにオリジナル、独創的、自らを確立させるなど

まずは型どおり(守)、その後、それを疑い、時には否定し、自分なりに変えてゆく(破)。
最後に型から離れて新しい自分になる(離)。 といった感じですね。

守破離の考え方は、仕事を含む人生、キャリアなど、広く活用可能です。

では、どんなシーンで守破離を活用できるのかを述べたいと思います。

仕事における守破離

仕事において守破離を意識できると、漠然と働くことがなくなります。

仕事を覚えるだけの日々は退屈だったりします。
特に承認欲求が高い人ほど、習う/慣れる、OJTの日々は直接成果に結びつかずストレスになることも多いでしょう。

「成長したいのに、毎日こんな仕事ばかりしていて不安」と思うこともあるはずです。

そんなモヤモヤは守破離の考え方が解決してくれるかもしれません。
仕事における守破離は以下のような感じです。

【守】
職場内のルール、仕事のやり方などを覚えて業務が遂行できるようになること。

この段階では、経験豊富な上司や先輩などから、経験が浅い人に対して教えるという手段が代表的なため、テーチングが使われることが多いと思います。
もちろん、誰かのマネをして覚えるなどの手段もあります。

仕事における型を身につける感じです。

この段階で先が見えないと、なんだかモヤモヤしてしまいます。
しかし、経験が「破」や「離」に繋がるなら、考え方が前向きになれそうです。

【破】
身につけた型に疑問や課題、問題点を感じて、よりよく改変する段階です。

「破」の段階で大事なことは、改変に対する提案を行動に起こすことだと思います。

問題意識や「変えたい」と思うようなことは、誰でも潜在的に感じていることですが、「破」→「離」へ向かうにはよりよく変えるための行動力が大事です。

【離】
新たなことを生み出す段階です。

新規性の高い業務、製品やサービスなどを提案するなどが挙げられます。

つまり、最近ビジネスシーンにおいて注目されている、キャリア自律は守破離の「離」の段階になって成立するとも言えます。

「守」の段階で身につけた知識や経験は「破」の段階で研ぎ澄まされたり、独自の考え方が反映されています。
その過程を活かして、「離」の段階では自分にしかできないことを成し遂げます。

仕事におけるキャリアの成長にも守破離による段階があるということです。

学びにおける守破離

中学校、高校においても、守破離の表現を用いて教育方針を伝えている学校も多数あります。

例えば、一年生は「守:守る」基礎固め、 二年生になると、「破:破る」自分なりの工夫で発展することを促す自律を意識し、三年生では、「離:離れる」で集大成、卒業後に繋げるといった感じです。

学校生活だけで守破離を全て組み入れるのは難しいと思いますが、勉強だけを教える「守」のみでは先が見えずに生徒のモチベーションが上がり難いです。そのため、学ぶ意味を守破離で説明するのは前向きだと思います。

「学校で学んだことが社会に出てどう役に立つのか?」の問いに、守破離で答えると説得力があります。

学校で学んだ基礎(「守」)をどう応用するのか(「破」)、そして新しい価値をどう生み出すのか(離)、学校生活での学びは将来に繋がると守破離が示唆しています。

家庭における教育方針としての守破離

子どもの教育としての守破離も勉強する目的として子どもに伝えることができます。

それは、「破」と「離」が将来どのように意味をもつのかを伝えることです。
この考え方は、前述した学校における守破離と同様です。

ただし、親自身が守破離を実践することで子どもに伝えていくことが大事だと思います。

まずは習い、学びの幅を広げながら独自の知識と経験を育てることは守破離の考え方と重なります。

今取り組んでいることは将来どんな意味があるのか、守破離を通してお子さんに伝えてみてください。

真似ることから始める守破離

真似することは悪いこと、と誤解している人は多いと思います。
しかし、守破離の「守」の段階では、教えてもらうか、誰かの真似をすることは、基本を身につける手段のひとつです。

個性や独自の能力、強みを生み出す前段階は、やはり「守」から始まるもの。

習得した知識から、独自にカスタマイズを繰り返し、不足部分は更なる学びで補う、そして徐々に得た知識や経験を統合化することでキャリアが形成されます。

人生、キャリアにおける守破離

自分にしかできないこと、自分らしい生き方、自分のキャリアを守破離に照らし合わせてみます。

キャリアの停滞感は特に「守」で思考や行動が止まってしまうことで起こり得ます。

例えば「資格をとってみたものの、活用方法がわからない」と感じたことはないでしょうか?

キャリアにおける守破離は以下のような感じです。

【守】
まずは学びです。ロールモデル見つけて真似をしたり、誰かから教えを受ける、読書やセミナー、スクールなどあらゆる手段を通して様々な学びを得ます。

【破】
学びからアウトプットにつなげます。様々な学びとアウトプットを組み合わせ、自分なりにアレンジしてゆきます。
キャリアにおける守破離は学びを司る「守」と、アウトプットを司る「破」の繰り返しでキャリアの成長をはかります。

時には、アウトプットから得た失敗や課題を、「守」に立ち返り、再度学びで補います。

【離】
自分にしかできないこと、人生哲学が醸成されます。
つまり「自己実現」の欲求は「離」の段階で満たそうとします。

まとめ

守破離は自分のキャリアを成長させるための段階と考えることができます。
守破離を意識することで、これまで漠然としていた学びや行動に意味がもてるようになるのではないでしょうか。