キャリアコンサルタントの面接試験で不合格になってしまう原因についてお話しします。
原因は人それぞれありますが、大まかにパターン化できます。

では、どのようなケースで不合格になってしまうかを、私がこれまで見てきた経験を踏まえてお伝えします。

全体傾向として「聴く姿勢」は全員できている

キャリアコンサルタント養成講座などで専門的な教育を受けてから、試験に挑んでいますので、みなさん試験の際の 「かかわり行動」 はしっかりできています。

「かかわり行動」とは視線、相槌、声の質など相談者と信頼関係を築くための要素です。

様々な、かかわり方がありますが、「聴く姿勢」だけで言えば、そこまで問題のある人はいません。

問題は 「感情に寄り添えているか」 です。
ここには、合格になる人とそうでない人で差があります。

大事な感情に対して言語的追跡ができていない

前述しましたが、うなずき、相槌などの姿勢はみなさん問題ないのですが、 「見かけだけで実は聴いていない?」と認識されてしまうような対応 をしている受験生がいます。

よくあるのが、相談者の感情が表れる発言に対して、感情に寄り添わずに話を変えてしまうことです。

受験者本人が、それに気付き、口頭試問で感情面への寄り添いが課題であることを反省点として話せればセーフなんですが、ロールプレイで感情面をスルーして、更に口頭試問で振り返る際も気付いていない場合は、不合格になる傾向があります。

それだけ、 感情への寄り添いが大事 なのです。

一つ事例を挙げてみます。

例:「上司の私に対する態度がきつくて、辛い。もう仕事を辞めたい。」と相談者からの発言に対し、感情面に対して言語的追跡をするなら「辛い」の部分です。

ただ、よくあるのが、「仕事を辞めたい」の部分に焦点をあてて、「辞めることを誰かに相談しましたか?」と聞いてしまうことがあります。

焦点が「仕事を辞めること」にずれてしまい、話が変わってしまいます。
相談者から見ると「辛い気持ち」をスルーされ、「聴いてくれていない」と感じてしまうでしょう。

 「感情に対して言語的追跡」 ここが、合否の大事なポイントかなと私は思います。

来談目的を忘れる

面接試験での緊張から、来談目的が記憶から飛んでしまうケースがあります。
来談目的を見失うと、話の軸がなくなり、面談自体が成立しなくなるので、ロールプレイの早い段階で修正しておきましょう。

来談目的は、相談者の第一声のあたりに含まれています。
口数の多い相談者であれば、会話の中に埋もれてしまうこともありますので、キーフレーズとして、しっかり抑えましょう。

もし、緊張で来談目的が頭の中から飛んでしまった場合、隠すのではなく、素直にロールプレイの早い段階で相談者から確認しましょう。
隠すことで、「聞いていない」と判断されてしまいます。

自信がある

カウンセリングに自信は禁物!

不安感がある方が、良い試験結果になりやすいです。

「自信がある」は主観で、自分ができたと思っているだけにすぎません。
では、相談者の立場ではどうなんでしょうか?

キャリアコンサルタントとして実際に対人支援業務に携わっていても、「ちゃんと傾聴ができた」と自己評価することは、何年経験を積んでも実感としてはないのでははいかと私は思います。

よくできたかどうかの、答えは相談者の中にあります。
キャリアコンサルタントは常に課題、不安感の中にある方が成長するためには大事なんだと私は思います。

同じ質問を繰り返す

複数回、同じ質問を繰り返してしまうケースは、「話を聞いていない」と認識されてしまい評価を下げてしまいます。
同じ質問をしないことを心がけましょう。

ただし、「絶対同じ質問をしてはダメ」と思うことで、プレッシャーになります。
私はリラックスするために「1回ならセーフ」と自分の中で決めていました。

大事なのは面談中に 同じ質問をしてしまったという「自覚」 です。
自覚できているなら、口頭試問の振り返りで改善点として回答するのが良いでしょう。

経験がある事例

自身の経験がある事例は危険といえます。

ましてや、自分自身が職場の上司として日常的に部下を評価する立場の場合、上司との関係性で悩んでいる相談者の事例は、上司としての主観が入ってしまうからです。

このような事例の場合、キャリアコンサルタント役の受験生自体もネタが豊富なため、会話が弾んでしまい、評価的視点で相談者に接してしまいがちです。

「この来談目的なら、こういった傾向があるな!」と話も聞かずに、問題点を先に見立ててしまい、見立てた問題点を前提として、相談者に問いかけをしてしまうことがあります。
これを 「一般化」 と言います。

このケースの場合、相談者の感情や固有の事情を見落としがちになりますが、観察者の立場なら、ロールプレイ中の問いかけと、口頭試問の回答で評価的視点はすぐにわかります。

面談の際は、まず相談者の感情と背景を理解することを第一としましょう。

なお、職業経験の豊富な、ミドルシニア層の受験生はこのようなケースは十分に注意してください。

沈黙を恐れるあまり、無理に質問する

試験に限っては、沈黙を怖がる必要はありません。
沈黙は以下の2ケースあります。

相談者が回答を探している場合

キャリアコンサルタントからの問いかけに対して、相談者が回答を探しているケースの沈黙です。

質問内容にもよりますが、自問自答、自己探索など内面に対して、見つめている状態であれば、良好なケースです。
しっかりと待つ姿勢をとりましょう。

的外れな質問や、回答に困る質問であれば、試験の場合、相談者役の方が「わかりません」と答えてくれるはずなので、沈黙にはなりません。

次の質問が見つからないため、無理に質問をする

受験生(キャリアコンサルタント役)からの問いかけがなく沈黙するケースです。
受験生としては焦ってしまう場面です。

しかし、沈黙を恐れて無理に質問して話を繋げてしまうよりも、1分間の沈黙の後で、感情に寄り添う問いかけをするほうが、 私は大事だと思います。

前述した 「感情に対して言語的追跡」を意識 してください。

私自身、試験の際に合計3分くらいは問いかける言葉が見つからずに沈黙していました。
ただ、感情に焦点を充てていたので、軸はしっかりとしていたと思います。

問題点を見つけることに固執する

問題点を見つけるために誘導的な質問をしてしまい、取り調べのようなロールプレイになってしまうケースが稀にあります。

「必ず問題点があるはず」と探る意識が先行してしまうと、相談者の感情を知る以前に、信頼関係の構築さえ不十分になり、相手は追い詰められた気分にすらなってしまいます。

展開させようと、あせる気持ちからの行為でしょうが、まずはしっかりと相談者の話に耳を傾け、寄り添うことを忘れないようにしましょう。

イメージトレーニングがおすすめ

試験までに、実際の面接試験を意識したイメージトレーニングがおすすめです。

ただし、事例や、相談者のイメージを予想するイメージトレーニングではなく、自分自身の態度や、姿勢、会話の間(ま)、など かかわり行動に対してのイメージトレーニング です。

落ち着いて、リラックスできる場所で試してみてください。

本番は緊張しますが、私はイメージトレーニングのおかげて心の拠り所ができ、徐々に緊張がほぐれました。

ちなみに私がイメージトレーニングをしたのは「うなずき、相槌」です。

まとめ

面接試験で大事なことは、 相談者の感情、気持ちにしっかり寄り添う ことです。
感情が表れている発言やフレーズは、見逃さずにしっかり言語的追跡をしましょう。

逆にいうと、面接試験ではたくさんのことを意識するのではなく、 「まずは気持ちを理解する」 
これだけをしっかり意識して試験に挑めば、結果はついてきます。

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