マンダラチャートは目標に向けた行動や考えなどを整理するためのツールとして有名です。
いろんなサイトで使い方を説明していますが、キャリアコンサルタントが支援の現場で活用することはできないでしょうか?
今回は、キャリアコンサルティングでのマンダラチャート活用について、私なりにまとめてみました。
マンダラチャートとは
まずは、マンダラチャートとは何かについてお伝えします。
マンダラチャートは縦横に区切ったマスを使って、中心に達成したい目標などを記載します。
そして、その目標を達成するために必要となる要素と行動(何をすべきか)を周囲のマスに記載してゆきます。
つまり、目標達成のために何をすべきかを見え化するツールです。
目標以外にも、解決したい問題や、事業、プロジェクトなどでも活用できます。
マンダラチャートには基本型となるA型、要素から更に細部の行動に落とし込むB型のチャートがあります。
キャリアコンサルタントが支援の場で活用するには、まずはA型チャートのレベルだと思います。
B型チャートで落とし込むのは目標や問題の要素が多岐に渡る場合です。
マンダラチャートを利用する前提条件
マンダラチャートをキャリアコンサルティングの場で活用するための、前提条件についてお伝えします。
主訴の共有ができていること
マンダラチャートは目標設定、課題や問題解決などに必要となる要素とやるべき行動を見える化するツールです。
そのため、キャリアコンサルティングなどの面談において活用する場合、まずは解決すべき問題点や、実現したい目標などを相談者とキャリアコンサルタントの間で共有が必要です。
つまり、「主訴の共有」はマンダラチャートを利用するうえで必須条件となります。
マンダラチャートは一緒に考える
相談者と支援するキャリアコンサルタントが一緒に考えながら、マンダラチャートを作成します。
ここは、キャリアコンサルティングでマンダラチャートを活用するための大きなポイントだと思います。
一般的なマンダラチャートの作成では、当事者がまず自身で記入してマンダラチャートを完成させるのがよくある例です。
しかし、支援の現場であれば、キャリアコンサルタントが助言や情報提供などを交えながら、相談者に寄り添いすめることになります。
相談者から合意が得られていること
マンダラチャート自体の目的や効果などを、相談者に説明したうえで、合意を得てから作成しましょう。
マンダラチャートを作成することが目的化しないように注意してください。
あくまで、相談者が抱えている問題や課題解決のためのツールの一部です。
カウンセリングの過程で、相談者自身の内省が進み、自己解決できる内容であればツールを使う必要はありません。
また、「相談者の語り」これが第一優先です。
そのため、マンダラチャートは必要に応じて補助的に活用するといった意識は常に持っておきましょう。
マンダラチャート活用のメリット
キャリアコンサルティングにおけるマンダラチャートの活用は以下のようなメリットがあると思います。
情報共有を見える化
解決したい問題、達成したい目標などとそのプロセスを、相談者とキャリアコンサルタントの間で見える化できるメリットがあります。
つまりエビデンスとしても活用できます。
オンラインでも活用可能
オンライン上での面談の際も、画面を共有しながら一緒にマンダラチャートを作成することが可能です。
相談者の語りを通して、共有しながらマス目に内容を書き込んでゆくイメージです。
作成したマンダラチャートをファイル保存しておけば、次回以降も両者で共有できます。
フォローアップにも使える
マンダラチャートの外周のマスは、取り組むべき行動などが反映されます。
システマティック・アプローチのプロセスで見た、「方策の実行」~「結果の評価」の際にも、マンダラチャートに記載した行動に対しファローアップが可能となります。
マンダラチャートの作成
では、マンダラチャート作成のポイントと記載します。
中心のマスは目的を記載する
マンダラチャートの中心はテーマを記載します。
テーマには前述した通り、達成すべき目標や、解決すべき問題を記載します。
つまりカウンセリングの過程で表れた、本質がマスの中心になります。
記載は具体的な内容とし、相談者から直接発言のあった言葉や、キャリアコンサルタントが置き換えた言葉の場合は、相談者が納得して合意した言葉でテーマを記載します。
最終的には外周のマスに行動計画など記載しますが、必ずこの中心マスに記載した内容に繋がる行動となってるかを確認してください。
言い換えると、中心マスに記載した内容が「目的」、外周マスに記載した内容が「目的のための手段」となっているかを意識します。
外周マスは要素と行動を記載する
A型チャートの場合は、周囲のマスに要素と行動を記載します。
B型チャートの場合は、要素とさらに要素ごとに細分化された行動を外周マスに記載します。
キャリアコンサルティングでマンダラチャートを使用する場合は、面談の内容によって記載する情報も大きく異なってきます。
転職活動の支援で活用する場合は仕事理解、自己理解のように外的要素(外的要因)と、内的要素(内的要因)で分けて行動を整理します。
また、仕事選びの条件を目的にマンダラチャートを活用する場合は、動機付け要因と衛生要因で要素を分けて行動を落とし込むやり方もあると思います。
一方、問題解決の場で活用する場合も、内的か外的かで要素と行動を分ける考え方は同じです。
上司や部下、同僚など相談者の周囲の人に対する行動をまとめる際は外的要素、相談者自身の考え方や捉え方を見直したり、スキルのトレーニングを行う行動は内的要素になります。
全てのマスを埋める必要はない
大事なのは相談者とキャリアコンサルタントが一緒に考えた内容が、すべからく表現されていることであり、マスを全て埋める必要はないということです。
相談者から見て、外的要素(外的要因)、内的要素(内的要因)は最低限大別されていればよく、あとは視点ごとに整理し易いように要素を分けます。
キャリアコンサルタントが理解し易い分類ではなく、相談者が理解しやすい視点で分類化されていることが大事です。
まとめ
キャリアコンサルティングの場では、マトリクス形式の表などを用いて情報を整理するケースはあると思いますが、マンダラチャートは様式が変わっただけと理解すれば馴染みやすいと思います。
また、マンダラチャートの様式であれば、どんな相談内容でも概ね対応できます。
何より、中心に一番大事な主訴が入るため、様式としての視認性はかなり高いと思います。
最後に、マンダラチャートがより詳細に説明された書籍をご紹介します。
目標達成、問題解決のケースや、仕事と生活のバランスを要素とした例など活用法がたくさん書かれています。
支援力強化の一助になれば幸いです。
(以下の紹介にはプロモーションが含まれています)
【参考】