正規雇用で働いている40代以降(ミドルシニア世代)の現状と、ライフイベント、費用について纏めています。
定年まで今の会社で働くと決めている方も、その先のことを後回しにせず、ライフプランについて少しずつ準備を始めてみてください。
はじめに
本記事では、セカンドキャリアの選択に必要な前提条件であるライフイベントや費用について記載しています。
セカンドキャリアに向けて大事なことは 「やりたいこと」 と 「経済的な事情」 の両立です。
また40代以降のミドルシニア世代は、 「親の介護」 も影響があり、セカンドキャリアの選択肢は上記3つを考慮した検討が必要になります。
こんな方に読んでほしい
・セカンドキャリアに意識を向け始めた方
・現在正規雇用で働いている40代以降の方
・転職を考えている中高年の方
・将来のライフプランについて知識をつけたい方
定年まで勤務希望者は約半数
正規雇用で勤めている人の半数が、 「このまま定年まで働き続けたい」 と考えています。
背景としては以下が挙げられます。
・定年後のキャリアの見通しが不安定
・不安要素が多いゆえに、長期勤続を希望
・退職金制度の恩恵もあり、日本では会社に長期勤続することにメリットが大きい
先行きが不安なため、どうしても「やりたいこと」を諦めて、現実思考の方が多いと思います。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「調査シリーズNo.220 職業と生活に関する調査」によると、現職が正規雇用者で転職経験のない人の50%以上が、男女共に「定年まで働きたい」と回答しています。
正規雇用者の多くは「セカンドキャリアは定年後から」と決めている方が多い印象です。
介護の両立
40代以降のミドルシニア世代は 「介護との両立」 が課題となってくる世代です。
45~74歳の約6割が転職経験を持っています。
転職経験者内での平均転職回数は、男性が 2.4 回、女性が 2.7 回。
転職の理由は男性では比較的様々です。
一方、女性では「家庭の事情(介護等)」が約3割を占めています。
なお、今後は男性も介護との両立による働き方の選択は増えていくと思われます。
介護に関する制度が整っている会社へ転職しつつ、定年まで働きたいと願う労働者の方は多いです。
労働時間
労働条件としては、労働時間、休日などの条件が良いところ、通勤時間が短い場所も選定条件となります。
下図のとおり、働く際の選定条件としてみなさん重視されています。
前述した 「介護との両立」 がその背景にあります。
将来の支出は早めに洗い出す
定年まで現職で働くとして、定年後も 「経済的な事情」 のために働く必要がある場合、どのくらいの支出が必要かは事前に算出しておきましょう。
抑えておくべきは、 「家計支出」 と 「ライフイベントによる支出」 です。
家計支出
家計支出は家庭毎に異なりますが、総務省統計局にて家計の調査報告が掲載されています。
まずは、統計を確認して、見落とさないように支出項目を抑えておきましょう。
<参考:総務省統計局 家計調査報告>
ライフイベントによる支出
ライフイベントによる支出についても事前に把握しておきましょう。
参考までに主なライフイベントを記載しておきます。
子供の教育にかかる費用
セカンドキャリアを考え出す年代は、子供の教育負担が増していく年代と重なることが多いです。
進学先などによって家計への負担が変わってきます。
費用の概ねの把握は、文部科学省にて調査結果が出ています。
<参考:文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について>
また、 一人暮らしをする子供の仕送り が必要な場合もあります。
子供の結婚にかかる費用
結婚にかかる 費用の約半分は親が負担 している世帯が多いそうです。(69.4%)
その金額は平均で156万円となっています。
<参考:リクルート「結婚トレンド調査2021」>
(参考ページは「9.挙式、披露宴・ウエディングパーティー費用としての親・親族からの援助」)
介護にかかる費用
生命保険文化センターのサイトで、介護にかかる費用について確認できます。
(現状は、月々の費用が平均8.3万円、介護期間は平均で5年1カ月となっています)
<参考:生命保険分化センター: 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?>
葬儀にかかる費用
高齢者の方は、残された人たちが困らないように、費用を試算・準備しておきましょう。
その他
その他に考えられる費用は以下です。
・リフォームにかかる費用
・車の買い替え
・介護にかかる費用
・旅行
・家電の買い替えなど
ライフイベントは未来年表を作成して見える化を
ライフイベントがいつ発生するかの見込みは、 未来年表 を作成して見える化しておくと良いでしょう。
定年まで勤める間に先の準備を
定年後の先行きが不透明なため、ひとまず今の会社で定年まで働き、その後再雇用と考えている方はどうしても後のキャリア設計を後回しにしがちです。
セカンドキャリアは「やりたいこと」「介護」「経済的事情」の両立になりますので、現職の内に少しずつ定年後のビジョンを検討してゆきましょう。