「やりたいこと」、それは「自己実現」です。

多くの人が、自分のやりたいことを実現するために、日々キャリアを積み重ねています。
ただ、中には「やりたいことがみつからない」と感じ、将来のキャリアに不安を感じている人もいると思います。
実は、「やりたいこと」はキャリアを積み重ねてゆく過程で、自己の成長と共に明確になるものです。

今回は、マズローの「欲求5段階説」のキャリア理論を取り上げて、「自己実現」に向けたキャリアデザインについて述べたいと思います。

「欲求5段階説」

「やりたいこと」を実現するまでには、段階があります。
人間の欲求を5段階で表して、段階的に欲求を満たしていく「欲求5段階説」はキャリアの世界では有名な理論です。
考案者はマズローでアメリカ合衆国の心理学者です。

私自身のキャリア形成と重ね合わせて、この理論についてお話ししたいと思います。
「やりたいこと」が見つからずに、悩んだりしたら、どうか焦らず「段階がまだ先だから、そのうち見つかる」の気持ちを
持ってもらえたら幸いです。

人は「やりたいこと」に向けて絶えず成長します。
「欲求5段階説」の一番上の欲求は、「自己実現欲求」でそれに向けて成長しようとする考えです。

なお、マズローは晩年、「自己実現欲求」の上に「自己超越欲求」を設定してますが、
私も経験していない、質が高すぎる人生経験になるので、ここでは触れません。

自分自身がどの欲求段階にいるかを知る

今、私自身は5段階目の「自己実現」に向けて、日々取り組んでいると理解しています。
自己実現の段階にいる人は、ほぼキャリアに対して「自走」できていると考えれば良いと思います。
自走とは、自分の考え方の軸があり、自分の進むべきキャリアの方向に対して自分で考え、行動できるレベルと私は認識しています。

私がキャリア相談で話を聞く際は、まず相手の欲求がどの段階にいるかを把握しようとします。
欲求5段階別に整理すると、

(1)生理的欲求

「生きていくために必要な基本的・本能的な欲求」です。
「食欲」「睡眠欲」「排泄欲」などです。
人間の本能である部分で最下層の欲求となります。
つまり、この欲求が満たされないと、生きてゆくことが困難になります。

私は今まで、この段階の欲求に留まったことがないので、ほんとに親に感謝です。

(2)安全の欲求

「健康でかつ経済的にも安定した暮らしへの欲求」です。
住む家がある、収入が安定している、健康であるなどが該当します。

安心して生活できるレベルの欲求なので、リストラや解雇などが発生した場合、途端にこの欲求が脅かされます。

私は、この段階の欲求に留まったことはまだありませんが、この段階が脅かされないようにするために、どうすれば良いのかは、常に意識しています。

(3)社会的欲求

「友人や恋人、家庭、会社から受け入れられたい」という欲求です。

私は社会人3年目くらいまでは、この欲求にいたと思います。
仕事で成果を上げる以前に、周囲とコミュニケーションがとれる、年齢の近い仲間などと遊んだり、社会の一員としていることに満足していた時期の欲求です。

孤独感や社会的不安を感じてしまうと、この欲求が満たされず、鬱になってしまう人もいます。
共感してもらえる人が周囲に必要ですが、職場の上司などは共感力をつける必要があります。

故に、安心感がある環境にいると、この欲求は満たされることになります。

(4)承認欲求

「認められたい」という欲求です。
「尊敬されたい」とか、「出世欲」もこの欲求に当てはまります。

承認欲求があると、それが原動力になりモチベーションが高まります。
私自身は15年近くこの欲求に滞在していたと思います。
20代の後半から40歳になるまでは、仕事で役に立ちたい、認められたい、高い地位で働きたいなどの欲求がありました。

承認欲求は「低いレベル」と「高いレベル」でそれぞれ二つに分かれます。
低いレベル→高いレベルへの承認欲求へと、私も歳を重ねるごとに移行しています。

  • 低いレベルの承認欲求
    「他社からの尊敬」「地位や名声」「注目」などの他者から承認されたいという欲求です。
    他人からの評価に重きを置く欲求です。
  • 高いレベルの承認欲求
    「自己肯定感」「成長」「自立」などの自分で自分を評価できる状態を求めます。
    他人よりも自分自身の評価に重きを置く欲求です。

この欲求段階でも、評価が低いと感じることで、自己肯定感の低下が生じます。
企業内のキャリアコンサルティングでは、この欲求段階の人たちが一番多いと思います。

(5)自己実現欲求

「自分にしかできないことを実現したい」「自分らしく生きたい」という欲求です。
まさに、理想の自分と一致を目指す感じです。
各自の思う「価値観」を実現する段階と私は捉えています。

自己実現に向けて、欲求を少しずつ上げて成長することが大切

私自身の現段階の欲求ですが、高いレベルの承認欲求か自己実現欲求に入り始めたろころかな、と自分では理解しています。
出世欲はほとんどなくなってきました。
諦めたたというより、出世が重要ではなくなってきたためです。
ブログを始めたのも、キャリアコンサルタントの団体を作ったのも「自分にしかできないことを実現したい」という自己実現欲求に向けた行動と理解しています。
「やりたいこと」のために「出世」は重要ではなくなったわけです。

なので「やりたいこと」が見えるまでには、段階がありますので、「自己実現欲求」に達するまで、絶えず自分を磨いてゆくことが大切と思います。