相手の発言を認め、尊重する姿勢は心理的安全性を保つために必要です。

しかし、普段から無意識に使っている言葉の中には、コミュニケーションを断ち切る(遮断する)言葉があります。

コミュニケーションを断ち切る言葉を使ってしまうと、その後の会話が進まないどころか、「話を聞いてくれない人」と判断され、以後は心を閉ざしてしまい信頼関係を築けない可能性もあります。

今回は、コミュニケーションを断ち切る言葉を使わずに良好な会話を保ち、心理的安全性を高めるポイントをお伝えします。

普段から使っている戸閉言葉、D言葉の存在

戸閉言葉、D言葉と言われる否定形の言葉があります。

「でも」「だって」「じゃなくて」など相手の発言に対して否定的に返す言葉です。

他にも「そうじゃなくて」、「それは違う」、「ダメ」、「そんなはずない」「そんなことは聞いていない」などなど。
これらの否定的な表現は、相手との信頼関係が揺らいでしまう言葉です。

普段何気なく使っている言葉だと思います。

返す言葉を意識的に選択しないと、思わずポロっと否定的な表現が出てしまいます。

無意識だと人は話を聞く前から、返す言葉を決めている

では、普段否定的な言葉を発する場面では、どのような心理状態でしょうか。

相手の発言に対して否定的な見解を持っている時、自分の意見が相手と違う時、真っ先に返す言葉には否定的な表現を使いがちです。

否定的な表現が頻出するコミュニケーションでは、「話を聞いてくれない」「否定される」と相手が捉えてしまい、コミュニケーションが成立しなくなります。

そうなると、徐々に相手は自分から話を持ちかけたり、相談することがなくなり、閉鎖的な関係になってしまいます。

心理的安全性を高めるコミュニケーションでは、相手の発言が正しい/間違っているによらず、話を一旦受け止めることが大事になります。

つまり「まずは受け止める」がコミュニケーションを断ち切らないためのポイントです。

無意識だと人は話を聞く前から、相手を評価している

人は普段からの関係性で自分と相手の優劣、相手の性格、「どうせこうだろう」の先入観を持っています。

つまり、話を聞く前から無意識に相手を評価しています。

自分より優れている人や、立場が上の人の話はしっかり聞くのに対し、部下や後輩など自分の立場が上になってしまうと話を聞かなくなります。

性善説という表現がありますが、人は基本的に善であることを前提にして接することをしないと、相手に合わせて態度を変えてしまうことになり、信頼関係の構築は難しくなります。

そのため「まずは受け止める」に加えて、「話を聴く意識」も大事になります。

ポイントは「聞く」ではなく「聴く」

「聞く」は相手の話を情報として扱いますが、「聴く」は発言を理解しようとする際に使います。
「聴く」には気持ちを理解すること、相手に対して興味を持つことも含まれます。

一般的には傾聴のスキルに含まれます。

「まずは話を聴こう」は意識しないとできない

前提として、相手の話を聴く姿勢は無意識にできません。

無意識では自分と違う意見を持つ人の話を聞こうとは思わないからです。

普段からのトレーニングになりますが、まずは話を受け入れることを意識することが大切になります。

コミュニケーションを成立するためには受け止めること

傾聴のスキルは日々のトレーニングにより強化するしかありませんが、その中でもコミュニケーションを断ち切ることを防ぐ、「受け止める」方法をお伝えします。

方法は簡単で、相手の発言の後に「うん」「そう」など一度受け止める言葉を伝えます。

「そうだね」と肯定で言い換えること素敵です。

「うん」「そう」「そうだね」と一旦受け入れて、更には、誉める、励ます言葉が有効です。

誉める、励ます言葉

誉める、励ます言葉は相手の発言を促すため、会話にリズムが生まれます。

励ます代表的な言葉に「それで」があります。
私は「そうなんだ~、それで、それでぇ~」と相手の話に関心があることを示すために、それでを2回繰り返すことを意識しています

誉める言葉には「がんばってるね」、「考えてるね」、「素晴らしい」などがあります。

誉め言葉は相手のやる気など、ポジティブな部分の高めてくれます。

誉め言葉の引き出しを多く持っていると、表現が多彩になるためたくさん覚えておきましょう。
ちなみに私は「いいね~」をよく使います。

ビジネスシーンでは上手に使い分ける

「まずは話を聴こう」の半面、ビジネスシーンでは「手短に」や「まずは結論」もよく耳にする言葉です。
場面に応じて上手に活用するスキルも必要です。

手短に話す、結論から話すは上司への報告、プレゼンテーションで自分から発信する場合において効果的、一方で相手からの相談やコミュニケーション、チームの心理的安全性を高める際は「手短に」や「結論から先」を相手に求めるのはマイナスに作用することがあります。

場面ごとに使い分けるように意識しましょう。

まとめ

戸閉言葉、D言葉はコミュニケーションを遮断する言葉です。多用することで相手との信頼関係に悪影響となります。

「そうだね」など相手の発言を受け止めて、誉め言葉を加えつつ、自分の意見を述べるようにしましょう。

そうすることで対等な人間関係を構築でき、心理的安全性の向上に役立つと思います。